私が初めて、メーカーとしてきちんと仕事が
出来たと感じた出来事を一つ。
それは、ある担当代理店での話です。ある重度の高血圧
の方に、代理店が商品を販売して間もなく、その方が脳卒
中で亡くなってしまいました。代理店の話がオーバートーク
だったせいもあってかかなり高額な購入だったので、遺族の
落胆と憤りはかなり大きく代理店はお葬式の席に出席する
のが怖かったみたいで、当時まだ新人だった私に、代わりに
お葬式に出席してくれと、香典袋を渡されました。もう少し後
の私でしたら、代理店としての責任の事をきちんと話して、
一緒に出向く事を言えたと思いますが、その時はまだそこま
での考えもなく、一人で出向く事にしました。
案の定、周りの空気はとても冷たく、最初は誰も話しをしてく
れませんでした。そのうちに親族の一人の方が、『それまで
なんとも無かったのに、これを飲みだしてから急に様態が変
った、こんな高いものを売りつけて置いて、反って死期を早め
てしまった。これは詐欺じゃないか。お宅はいんちき会社だ!』
とすごい剣幕で怒り出しました。私は、その方の怒りが収まる
まで、ただ黙って文句を聞いていました。そのうちに少し怒りが
収まって、『あなたには、直接の責任は無いのに少し言い過ぎ
たようだ。気を悪くせんでくれ』とその方が言ってくれたので、
その時初めて、わたしは『メーカーとしては、お役に立てなかっ
たことは申し訳ないことですが、商品の特性としては、ご購入
されて1週間ほどの間の出来事ですので、この度の事との直
接の因果関係はなかったと思われます。商品に関しては、
決していんちきな商品ではございません。ただ、販売する方
としては、無責任な言動だけは、硬く戒めなければならない
事を教えていただきました。今後はこのような事の無いように、
しっかり販売店の指導をしていきます。本当に申し訳御座い
ませんでした。』こう申し上げました。
そしたら、亡くなった方の奥様が始めて口を開いて『貴方は、
よくこの席に勇気を持って来られました。その責任感は見上
げたものです。今回の事は、たまたま運命だったのだと思い
ます。あとの商品の残りは、私が予防のために使います。』
といってくれました。帰りは息子さんが駅まで車で送ってくれ
ました。
合掌!
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